食品100g当たりのトランス脂肪酸含有量(g)
品目 | 調査点数 | トランス脂肪酸含有量 |
マーガリン | 46 | 0.44~16 |
ファストスプレッド | 67 | 0.32~4.4 |
ショートニング | 24 | 0.46~24 |
植物性油脂 | 50 | 0.21~5.4 |
調整ラード | 5 | 0.83~1.6 |
2013年11月、アメリカの食品医薬品局(FDA)は、次のような声明をアメリカ国内で発表しました。
『トランス脂肪酸の摂取量の削減で、年に2万件の心臓発作と7000人の死亡を減らせる可能性がある』
さらにFDAは2015年6月16日にトランス脂肪酸を含む油脂をGRAS(Generally Recognized As Safeの頭文字:一般に安全と認められるという意味)という安全基準合格証の対象から除外すると言う決定をしました。この規則は2018年6月18日から施行され、トランス脂肪酸を食食品添加する事は原則禁止になりました。
トランス脂肪酸とは
トランス脂肪酸も実は、不飽和脂肪酸の1種です。牛や羊などの『天然』由来のものと、油脂を加工・精製する工程でできる『人工的』なものとがあります。
通常の不飽和脂肪酸は構造的に通常『シス型』という分子構造を持ちます。しかし、牛や羊などの反芻(一度飲み込んだ食物をから口に戻し、再び咀嚼して飲み込むこと)動物では、胃の中の微生物により『トランス型』という分子構造を持つ、トランス脂肪酸がつくられます。したがって、牛や羊の肉や、牛乳などの乳製品にも、微量の天然に作られたトランス脂肪酸が含まれています。
もうひとつは人工的に作られるトランス脂肪酸で、『水素添加』という方法で、液体状の油(植物油)を固形状に変えることにより生成されます。マーガリンやファットスプレッド、ショートニングや、これらを使ったパン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子や揚げ物などにも、必然的に含まれていることになるのです。
ハーバード大学公衆衛生大学院の教授で、栄養疫学研究の第一人者であるウォルター・ウェイレット博士(1945年〜)は、『食生活の中にトランス脂肪酸を持ち込んだことは、過去100年間で食品業界がやらかした最大の悪事である』と発言したそうです。
さらにウィレット博士は1990年代に入ると、トランス脂肪酸と心臓病の関連性を指摘、トランス脂肪酸がアメリカ国内で年間2万人にもおよぶ心臓病の死亡要因だと試算しました。