01:降圧剤を処方されている方へのアドバイス
ファスティングによって血圧は低下する可能性があります。
ファスティングにより免疫細胞が再生されることで、心血管の状態が改善され、血圧の低下がもたらされるということが、南カリフォルニア大学のヴェルター・ロンゴ教授率いる研究チームの論文に書かれています。そのため、降圧剤を服用しながらファスティングを行う場合、低血圧に注意する必要があることを予め伝えておくことが大切です。
また、ファスティング時に降圧剤を服用するかどうかは、医学的な判断にもかかわるため、かかりつけ医に相談のうえ、ファスティングをする人自身に決めていただく必要があります。したがって、降圧剤を服用する、しないにかかわらず、血圧測定器などを用いて血圧を測りながらファスティングを行うようにするというアドバイスもしてあげましょう。
02:血糖値が高めの方、糖尿病予備軍の方へのアドバイス
ファスティングの前に食生活をはじめとする生活習慣の改善が優先です。
血糖値が高めの方、糖尿病予備軍の方は、血糖値を下げるインスリンというホルモンの分泌が少ない、あるいはインスリン抵抗性といって、インスリンは分泌されているのに、それが体内で働きづらくなってしまっていることにより、高血糖状態に陥りつつあることが想定されます。
その一方で、下がりすぎてしまった血糖値を上げる仕組みにも異常をきたしはじめます。そうなると、生命活動の状況にあわせて適切に血糖値を上げたり下げたりするという、血糖コントロールがうまくいかなくなり、高血糖だけでなく、低血糖のリスクも生じます。
したがって、糖質を含むファスティング用ドリンクを用いたファスティングは、高血糖のリスクがあること、普段の食生活時と比べて摂取エネルギー量が減少することによる低血糖のリスクがあることの両方に注意する必要があります。
つまり、血糖値が高めの方、糖尿病予備軍の方がファスティングを行うのはリスクがあるため、ファスティングの前に食生活をはじめとする生活習慣の改善を行い、血糖コントロールがうまくできるような状態へと回復させるアドバイスを行うことが優先でしょう。その一例として、血糖の吸収を穏やかにするとされる食物繊維が豊富な野菜や茸、海藻類から全部食べきる「食べる順番」の工夫に取り組んでいただくというアドバイスが挙げられます。
生活習慣の改善に取り組んだうえで、ファスティングを行うのであれば、ファスティング用ドリンクの1日の総摂取量は変えず、1日8回から10回といったように、できる限り小分けにして摂取していただくようアドバイスしましょう。これは、血糖コントロールがしづらいと想定される血糖値が高めの方、糖尿病予備軍の方が高血糖および低血糖を起こさないようにするために大切なことです。
また、血糖値に対する影響から、長期のファスティングは推奨されません。1日試してから2日以上といったように、段階的に行うことが安全でしょう。不安や震えといったような、低血糖が疑われるような症状が起きたら、決して無理はせず、ファスティングをすぐに中止すべきであることも予め伝えましょう。
※以上のアドバイスは、あくまでも血糖値が高めの方、糖尿病予備軍の方についての対処例です。糖尿病の方に対し、糖尿病の改善目的でカウンセリングを行うことは法律上、「医師法」に準ずる有資格者でなければ行うことができません。