16:水だけのファスティングが推奨されない理由に関するアドバイス
水だけのファスティングは脱灰のリスクがあります。
体内で酸性の性質を示すケトン体がファスティング中にはつくられます。
血液はごくわすがでも酸性に傾くと生命の危機に陥ります。したがって、酸性の性質を示すケトン体による影響を防ぐために、アルカリ性質を示すカルシウムなどのミネラルを含むファスティング用ドリンクを使うことにより中和することが大切です。
これが「ファスティング用ドリンクを使わないファスティングは有り得ない」という所以です。水だけで行われるファスティングは、骨や歯からアルカリの性質を示すカルシウムを溶かし出し、血液が酸性にならないように中和する脱灰が起こるリスクが否めません。
ちなみに、健康的な人は酸性の性質を示すケトン体がつくられても、それを中和するためにカルシウムやナトリウムなどのミネラルが使われたり、呼吸から排出されたり(アセトン臭と呼ばれるケトン体独特の甘酸っぱい息の匂いがします)、腎臓から尿として排泄されたりします。ファスティング中、極端に排尿回数が増えたりする原因はこれでしょう。逆に言えば、ファスティング中に水分を十分に摂った方が良い理由は、ケトン体の排出のためでもあるのです。
17:ファスティング時に体脂肪を測ると増えているという方へのアドバイス
ファスティング時に変化する体水分量がヘルスメーターの測定値に影響を与えることがあります。
体脂肪計付き体重計や体組成計などのヘルスメーターは、電気抵抗値から筋肉の量や脂肪の量を確定しています。脂肪は電気を通しづらく、筋肉は発達しているほど電気を通します。
一方で、純粋な水は電気を通しません。ファスティングによって筋グリコーゲンの分解、消費が進めば進むほど、筋グリコーゲン内の水分も減ってしまうため、体水分量が減ります。
また、筋グリコーゲンだけでなく、脂肪や電解質なども変化しうるため、ファスティングは電気抵抗値および、それが根拠となる体脂肪値に推測不能な影響を与えてしまう可能性があるというわけです。
ヘルスメーターはファスティングによる体内の変化を想定してつくられているわけではないでしょうから、体脂肪の測定はファスティング前後にされると良いでしょう。
なお、ファスティングによって枯渇した筋グリコーゲン量が回復するのに数日はかかると思われますので、ファスティング後の体脂肪の測定は普通食に戻してから数日後が良さそうです。